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鮭の軟骨から驚異の成分「プロテオグリカン」を抽出!

「プロテオグリカン」という成分は、あまり馴染みのない言葉かもしれません。しかしこの成分は、よく知られているコラーゲン・ヒアルロン酸とともに、体の細胞と細胞の間を埋める重要な成分の一つに数えられています。「軟骨を構成する3大成分」とも呼ばれるプロテオグリカン。そんな重要な成分が、鮭の軟骨から抽出されて、さまざまな分野に応用されていることをご存知ですか?今回は、プロテオグリカンを鮭軟骨から抽出するまでのストーリーや、その効能についてご紹介します。

プロテオグリカンの抽出技術の変遷

プロテオグリカンの健康・医療・食品分野における有用性は、かなり以前から知られていました。しかしネックとなっていたのが、そのコストの高さと抽出の難しさです。

ところが、従来のやり方からは思いもよらなかった「鮭の軟骨から抽出する」という方法の発見により、プロテオグリカンのさまざまな分野への応用化、実用化の道が開けました。

まずはこの鮭軟骨を使った抽出に至るストーリーを見ていきましょう。

法外なコストと手間を要した、以前の抽出方法

鮭の鼻軟骨からの抽出という生成技術のブレークスルーが起こる以前、プロテオグリカンは牛や豚の気管軟骨から抽出するのが一般的でした。

しかし、この抽出方法では複雑な工程を要するにも関わらず、極微量のプロテオグリカンしか取り出すことができません。そのため、抽出コストは法外なものとなっていました。

この抽出量の少なさや、作業コストの高騰は成分そのものの値段に反映され、プロテオグリカンを手に入れるには1グラムあたり3,000万円という高額の費用がかかってしまいました。これではとても実用化への研究や製品化を進めることはできません。

さらに、牛や豚からの抽出過程では、クロロホルムをはじめとした有害性のある薬品を使用する必要がありました。そのため、人を対象とした研究・応用、開発に使うことは実質的には不可能であり、プロテオグリカンを世に広めるには高いハードルが立ちはだかっていました。

弘前大学発、プロテオグリカンの新たな生成法

そんな状況を打開し、プロテオグリカンを世界に広める大きな役割を果たしたのが、弘前大学の高垣啓一教授です。そう、プロテオグリカンの実用化への道を開いたのは、日本の研究者だったのです!

鮭の鼻軟骨からプロテオグリカンを抽出するというこの発見は、高垣教授の柔軟な発想力によるものです。その背景として、弘前大学では従来から糖鎖研究をはじめとする、細胞に関わる研究が盛んだったこと、青森近海での豊富な鮭の漁獲量が挙げられます。

水産加工品の製造過程で、鮭の頭部が大量に廃棄されている現状を見た同教授は、資源の有効活用の意味も含め、この鮭の鼻軟骨からプロテオグリカンを抽出できないかと研究を始めます。

試行錯誤の末、同教授は今まで使用してきた、クロロホルム等の有害な薬品に頼ることなく、人体に無害な酢酸等の使用のみで、プロテオグリカンを抽出する新たな生成技術を完成させていきました。

株式会社角弘との共同研究のもと、鮭の鼻軟骨から、高純度かつ大量にプロテオグリカンを抽出・精製する技術をついに確立するに至ったのです。

プロテオグリカンの実用化への研究が始まってから、のちに高垣教授による鮭軟骨の抽出技術が確立するまでの期間は、実に30年。この長きにわたる研究成果が、私たちが手軽にプロテオグリカンを摂取できる秘密です。

プロテオグリカンの応用・実用化が進展

新たに確立した、鮭の鼻軟骨由来のプロテオグリカン生成技術により、以前の抽出方法に比べ、2つの大きな変化がありました。

1つは抽出コストを大幅に減らすことに成功したこと。従来に比べ、数字上は100分の1の低コスト化を実現することができるようになりました。

これにより、研究や製品化への動きも一気に加速。手に入れやすい価格で、プロテオグリカンの効能を実感できる製品開発が進んでいきました。

もう1つは、抽出の際に有害な試料を使用しなくてよいこと。これまで牛や豚からプロテオグリカンを抽出するために使っていた有害な試料が、無害な試料で抽出できる鮭に代わったことで、人を対象とした応用・実用化分野で安心して使用することが可能となりました。

これも鮭軟骨由来のプロテオグリカン生成を確立した大きなメリットです。

プロテオグリカンの応用分野

さて、鮭軟骨からの抽出により、低コスト化と安全性の確保を実現したプロテオグリカンですが、成分にはどのような特徴があるのでしょうか?

プロテオグリカンの特徴はその保水性です。美容液に含まれる成分として有名なヒアルロン酸。このヒアルロン酸も保水性が高いことで知られていますが、プロテオグリカンの保水性はこのヒアルロン酸を大きく上回ります。

また、細胞の外側に蓄積されている成分の総称、「細胞マトリックス」の重要な構成要素であり、細胞の増殖・分化・形質発現等の制御に重要な役割を持っていることが分かってきました。

上記の特質もふまえ、プロテオグリカンは、ロコモ対策をはじめとする健康分野、肌をはじめとするエイジングケア(美容)分野等にて期待される成分として、応用化・実用化が進められています。

鮭の鼻軟骨という、思いもよらない原材料が発見されたことにより、プロテオグリカンは人々の手に届くものとなったのです。

プロテオグリカンから目が離せません

プロテオグリカンは現在、健康・美容などさまざまな分野で応用化が図られていますが、具体的には、機能性食品や化粧品といった形で、すでに世の中に出回っています。

これらに加え、プロテオグリカンには、炎症性腸疾患の治癒効果等、次々とその効能が確認されてきており、医薬品・医療用材料としても、ますます実用化が進むことでしょう。

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